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平山順子/Relic Shrek Shellac

Sweet Rainでもお馴染みのアルトサックス奏者、平山順子さんの初レコーディングです。
その優しく柔らかい音色と、時に情熱的に歌い上げるアルトが僕は大好きです。

そしてこのデビューCDは、平山さんの優しく柔らかなアルトを存分に楽しむことができる作品になっています。
何度でも聴きたくなる、何度聴いても聴き飽きしないCDです。

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メンバーは、
alto sax 平山順子
piano 角脇真
bass 佐藤えりか
drums 大井澄東

1曲目のI'm in the Mood for Love。平山さん独特の優しい音のアルトでメロディーが奏でられ幸せな気分になります。ライヴでの音よりもやや太く、メリハリの利いた音に録れています。
徐々に音数を増やして盛り上げる平山さんのソロが素敵です。佐藤えりかさんのベースが強力にビートをプッシュ。いい音です!続く角脇さんのピアノソロも上品で良い感じ。

2曲目は平山さんのオリジナル沈丁花。踊りだしたくなるような軽やかなリズムに乗ったチャーミングな曲。作曲能力もなかなか。

3曲目のSeptember 4thは9拍子のモーダルでけだるい雰囲気の曲。ちょっとフリーキーな平山さんのソロもいいです。優しさと柔らかさに力強さが加わって、より表現の幅が広がっています。
でも、どんなにブローしても全体の雰囲気としては非常に女性的な優しさを感じます。
そこが平山さんの魅力だと僕は思います。

4曲目はタイトル曲、Relic Shrek Shellac。優しいメロディーとフレーズが印象的。快適にバウンズするえりかさんのベースが心地よい。
角脇さんのピアノは相変わらず上品。

5曲目は角脇さんのオリジナル、How high the wall。この曲でも、少し甘い感じのアンブシュアーでちょっと情熱的に歌い上げるアルトが良い感じです。

6曲目は平山さんのオリジナル、Flipper。急速テンポで心地よくスウィングします。こういった急速テンポでもきっちりと早いフレーズを吹き切るところに確実なテクニックを感じます。
スリリングな名演だと思います。終わりかたがかっこいい!

7曲目はスタンダードのI’m old fashioned。こういったバラードでは、平山さんの優しく柔らかい音色の良さが全開になります。

8曲目は平山さんのオリジナル、DDD on Wednesday。ちょっと抽象的な感じで始まり、途中からラテンっぽいリズムにのってリズミカルなテーマが出て来ます。短いフレーズをたたみかけるようなソロが曲を盛り上げます。最後のコーラス?も面白い。

9曲目は角脇さんのオリジナルのShortening。新主流派風に盛り上がる、スピード感のある曲です。ここでのバンドの一体感は素晴らしい。ドラムの大井さんの細かなスティックワークに、ジャーンとなるトップシンバルの響きが印象的。

そして最後10曲目が平山さんのオリジナル、NOAH。平山さんがライヴの時に、このアルバムで一番好きな曲と言っていたのがこの曲でした。
明るい希望に満ちた未来を思い起こさせてくれる、静かな生命力に満ちた美しい曲です。

全体に、真っすぐな音で奏でた、優しく柔らかな女性的な魅力に溢れた音楽だと感じました。
僕はこんな音楽が大好きです。

さて、Sweet Rainでは、このメンバーによるCD発売記念ライヴを5月11日(金)におこないます。
是非、平山さんの魅力を確かめに来てください!

ジャズの伝統の中に新しい花が見事に咲き誇った作品 土井徳浩 Amalthea

最近このアルバムを毎日聴いているような気がします。

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ジャズの伝統の中に新しい花が見事に咲き誇った作品。
モノクロのクールでロマンティックな短編映画を見るように次々と色々な光景が浮かんでは消える。
北欧の曇った空、底知れない悲しみに沈む老人の深いしわが刻まれた顔、荒れ狂う海、どこまでも広がる誰もいない草原、冷たい空気の中に浮かぶ無数の星・・・白黒からカラーに変わりながら消えていく様々な風景。
そんなものを感じさせてくれる作品。
心を自由にしてくれる最上の音楽だと思う。
いつも僕の心の中で鳴っていた音楽。

土井さんはきっとジャズなんてジャンルに拘ってはいないと思うけど、やはり僕はここにジャズを感じる。
一言で言うと自己陶酔する音楽。
誤解を恐れずに言うならば、リスナーに聞いてもらいたいという思いよりも、演奏すること、表現することに没頭している音楽。それがジャズなんだと思う。


1曲目のYears
とても美しいメロディのメランコリックな曲。
土井さんのクラリネットが低音域から高音域まで見事にコントロールされた素晴らしい音色を聴かせてくれる。
2曲目のVelvet Sun
室内楽的な雰囲気で始まる。
テーマのメロディが徐々に上昇して、早いテンポのフォービートのピアノソロに入るところがなんともスリリングでよい。
ピアノソロのバックでの素晴らしいシンバルワークがバンドをプッシュして快調にスウィングします。
続く土井さんのソロは従来のモダン・クラリネットにはないコンテンポラリーで独自のなフレーズの連続で実にスリリング。
土井さんのクラリネット奏者としての素晴らしさが最高に発揮された曲だと思う。
3曲目のNo Moon Kenmore
ミディアム・テンポで軽快にスウィングする。
粋にスウィングする土井さんのクラリネットはジャズの伝統の中にも非常にモダンな息吹を吹き込んでいます。
4曲目のAmalthea
スローテンポのミステリアスな曲。高音域を巧みに使い、春の終わりの森の中の氷のような微妙な冷たさを感じさせる。さざ波のような繊細なブラッシュ・ワーク、シンバル・ワークからはECM的世界が色濃く感じられる。
アルバムタイトル曲に相応しい深さを感じさせる演奏。
5曲目のOne Little Spark
ピアノとクラリネットのデュオのバックでドラムが繊細なブラッシュ・ワークを聴かせる、まるでフランス映画の中のメランコリックな1場面を想像させるような曲。
思わずため息が出るほど美しい。
土井さんの鋭い感性と作曲能力が最高に発揮された曲だと思う。
6曲目のKids”24-7
イマジネイティブなベースソロで始まる。
ベースの不思議なバンプのラインにのって表れるアブストラクトなクラリネットのソロがスリリング。
早いフォービートにのってのちょっとトリッキーな土井さんのソロが素敵だ。続くピアノの佐藤浩一さんのソロもエネルギッシュで全体の構成も完成度が高く素晴らしい。
7曲目のEuphoria
現代音楽的な雰囲気の中で、クラリネットがヴァイオリンのような感じでメロディーを吹く。
独特の空間を感じさせるピアノとドラムの霧の中から再びクラリネットが美しい旋律を歌う。
クラシックを思わせる奥深い曲。
8曲目のOff Duty
なんとなくのんしゃらんな、ウキウキする感じの、楽しい音楽で。締めくくりに相応しい。

さて、この素晴らしいアルバムのレコ発ライヴを光栄にもSweet Rainで出来ることになりました。

12月22日(木)
~土井 徳浩カルテットCD発売記念ライブ~
土井徳浩(CL)  佐藤浩一(P)  本川悠平(B)  紺野智之(DS)
20時スタート、MC2,000円(+ドリンクオーダー)です。
ご予約お待ちしています。






悲しいほどに美しい・・・トルド・グスタフセン・トリオ / ビーイング・ゼア

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1曲目のAt Homeでなぜか、目頭が熱くなり、涙が流れてしまいました。
年のせいか、最近涙もろい・・・

それにしても、この1曲目の圧倒的な美しさはどうでしょうか?
この曲を聴くためだけにでもこのCDは購入する価値があると思います。

トルド・グスタフセンはノルウェーの若手ジャズ・ピアニスト。若手といっても、1970年生まれなので40歳は過ぎていますが、ジャズの世界では十分に若手でしょう。

彼も他の多くの北欧系ピアニストと同じく、“次なるキース・ジャレット”などと言われているようですが、このどこまでも透明な美しさはキースとは異質のものを感じます。

ピットインで見た今年の来日ライヴでは、病的なまでの神経質さと静寂を感じたのだけれど、CDではその辺のヒリヒリするような張り詰めた感じはやや弱まり、聴きやすくなっているが、それでも本質は変わらない。

いつも僕の心の中だけに起こる連想で申し訳ないですが、僕はグスタフセンのライヴから、阿部薫の演奏の恐るべき静寂を思い出しました。
阿部薫の、1分以上何も吹かない静寂・・・もう耐えられないと感じた時に出てくる魂の叫び・・・全然違うんだけど、僕はグスタフセンのストイックなプレイに同じような病的な静寂の恐怖を感じたのでした。

トルド・グスタフセン(p)
ハラルド・ヨンセン(b)
ヤーレ・ヴェスペスタ(ds)

録音:2006年12月18日~20日 オスロ、レインボウ・スタジオ

貴重なヨーロッパ的ピアノ・トリオ 西山瞳 「I'm Missing You」

西山瞳 「I'm Missing You」

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2004年録音の西山瞳さんのデビューアルバムです。
その後、何枚かCDを出されているようですが、私は聴いたことがなく、このCDで初めて聴くことになります。

砂浜にうつぶせになったアイコンと「人生のフォローができていません」というメッセージが面白いので、よくTwitterは読んでいましたが・・・

さて、このCDはマニアの間では幻の名盤として名高いらしいのですが、まさに名盤と言える作品だと感じました。

これをブラインドで聴くと、おそらく多くの人はヨーロッパ系のピアニスト?ピエラヌンツェ?ラーシュ・ヤンソン?といった風に答えると思います。

私も最初の1音を聴いたときに「ピエラヌンツェにそっくりだな」と感じました。
ライナーを読むと「ピエラヌンツェに心酔している」とあるので、これは当然のことなのかもしれません。

ピエラヌンツェのように流れるような美旋律を聴かせてくれます。溌剌とした雰囲気、ちょっと固めの鋭い音色(そしてジャケットの挑発的な視線!)がデビュー作ということを感じさせますが、全体として実に完成度の高い作品になっていると思います。

そして、なにより驚くのはそのコンポーザーとしての才能です。
1曲目のThis I Promise You 、7曲目のEpigraph、8曲目のI'm Missing Youなど、素晴らしいメロディーと構成美をもつ作品だと思います。
追加曲として入っているExtremes Meetの出だしは、栗田妙子さんを少し思い出させました。

このような純ヨーロッパ的なスタイルのジャズを演奏するプレイヤーは日本には非常に少ないような気がします。多くの人はバップの影響を受け、バッピッシュな演奏を主体にしています。ライヴ・プレイヤーとして生きていくためには、バップやスタンダードといった共通言語の上で仕事をする方が楽なんだとは思います。
きっと、西山さんはそういった意味では狭い道を選んだのかもしれません。
しかし、同じことをやる人が少ないということは、それだけ競争も少ないはず。
頑張ってほしいと思います。

いつか機会があればSweet Rainでも是非お願いしたいなと思います。
ただ、こういったピアノはアップライトでは難しいかもですが・・・

西山 瞳(p)原 満章(b)川内 努(dr);2004.8.3 NMG studioにて録音。

必聴です!Marcin Wasilewski  「Faithful」

Marcin Wasilewski  「Faithful」
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初めてMarcin Wasilewsk(読み方は色々な表記がされていますが、一般的にはマルチン・ワシレフスキーでしょうか)のピアノを聴いたのは、Manu Katcheの「Neighbourhood」と「Playground」だった。
その音に驚き、これは誰だと思ってみると、目深に帽子を被りとても神経質そうにうつむくMarcin Wasilewskの写真があった。
そこで、調べてみるとポーランドのピアニストで、シンプルアコースティックトリオというトリオを長年やっているみたいだった。

そして聴いたシンプルアコースティックトリオも確かに良かったが、この新譜はもうひとつ違う世界に誘ってくれる素晴らしさだ。

まず、オープニング曲の静かに魂を揺さぶられる感じでグッときた。
そして2曲目が圧巻。
氾濫した大河のように溢れるメロディ,竜巻のようにうねるベース,鋭利な刃物のように弾けるドラムス。
3つの楽器が一体となって、ECM的な静謐さを打ち破り、アイヒャーの分厚い氷を溶かしていくような快感が感じられた。
立山の山頂で見た、雪の間から新芽を出す高山植物をふと思い出した。
そういった静謐さと生命のエネルギーを感じさせてくれる。

そして、最後の「Lugano Lake」を聴き終わったとき心に残るのは、静謐さと生命のエネルギー。

Marcin Wasilewskiの音に対するセンスはどこかひねくれたところがあり、それがベース、ドラムのうねりと絶妙に絡み合うところに、まったくオリジナルな音世界が想像される。

凍るような透明感と森の中の動物のぬくもりを感じることのできる、何回聴いても、また何度でも繰り返し聴きたくなる、いつまでも聴いていたい、そんな作品です。

必聴です!

僕は現代のピアニストの中ではトルド・グスタフセンとともにMarcin Wasilewskiを最も注目しています。
来日しないかな・・・生を観たい!

プロフィール

マスターDH

Author:マスターDH
マスターDHです。
普段はマーケティングコンサルタントとして働き、週末は中野のジャズダイニングバー「Sweet Rain」で居るだけマスターをしています。ジャズ、プログレ、クラシック、民族音楽と雑食性ですがかなり偏食でもあります。今だに、コニッツのようにアルトを吹くことを夢見ています。

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