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「マーケティング視点でジャズを考えるためのいくつかの論点」

誰かが、「ジャズは絶滅危惧種だ」と言っていたが、確かに、ジャズという音楽の市場規模はどんどん縮小していると思う。
ジャズだけでなく、音楽産業自体が衰退している。
その背景には、パソコン、携帯、スマホ、様々なゲーム・アプリ等が登場して、娯楽・余暇の過ごし方が多様化したこと、また、社会の成熟化に伴って感性や価値観が十人十色になったために、昔のようなビッグ・ヒットが生まれ難い状況になっていること等、様々な要因が考えられるが、ここでは深くは追求しない。

ただ、これからのジャズをより魅力的なものにするために、我々、少しでも業界に関係する人間は何をすべきかについて、いくつかの論点をマーケティングの視点から提示してみたいと思う。

私はマーケティングを専門分野とするコンサルタントなので、色んな企業の社員研修でマーケティングについて教えるのだが、その時、一番最初に、「マーケティングとは何だと思いますか?20字以内で言ってみてください」と必ず質問する。

すると、
「商品のことを出来るだけ多くの人に知ってもらうこと」
「広告・宣伝やプロモーションを考えること」
といった答えが多く返ってくる。

すこしマーケティングを勉強した人は、
「売れ続ける仕組みを構築すること」
などと答える。

経営学の巨匠であるドラッカーは、「マーケティングの究極の目的はセリング(売り込み)を不要にすることだ」と言っている。

さて、何を言いたいのかというと、マーケティングと言うと、どうしても、「いかにして多くのお客さんに買ってもらう(利用してもらう)ようにするのかを考えること」といった、プロモーションの視点だけに限定してしまう人が多いと言うことです。

マーケティングとは、「人々の人生を豊かにする価値を生み出し、必要とする人にその価値を理解してもらい、最適な方法で価値を継続的に提供する、一連の活動」だと私は考えています。
だから、マーケティングで最も重要なのは、「どのような価値」を提供するのかが明確になっていることだと思うのです。

ジャズの活性化をマーケティング視点で考えるためには、まず、現代の日本のジャズはどのような「価値」を生んでいるのか?を徹底して考えることが必要だと思うのです。

そのためには、ジャズは誕生してからまだ100年程度の歴史の浅い音楽ですが(ルーツ的なことを考えると違うのかもしれないが)、それぞれの時代、それぞれの国で、ジャズはどんな「価値」を提供してきたのかを丁寧に考察していくことが必要だと思う。
1950年代のイースト・コーストでジャズが提供してきた「価値」と、今、日本のジャズが日本というマーケットに提供しようとしている「価値」は同じなのか、違うのか?
高度成長期の幕開けであり、安保闘争の激動の時代であった1960年代には、日本のジャズはどのような「価値」を提供していたのか?
等々。

そして、次に、
その価値をいかにして理解してもらうのか?
いかにして最適な方法で提供するのか?
継続的に提供するためにはどのような収益モデルを採るべきか?

それぞれの方法論を徹底して考えることが重要だと思う。

例えば、2003年にスタートした「ArtistShare(http://www.artistshare.com/v4/)」というビジネス・モデルを考えてみると、色々と示唆が得られるような気がする。
「ArtistShare」は、基本的にはミュージシャンが資金集めをするためのクラウドファンディングを中心としたビジネス・モデルであり、ジャズ界で著名なプロ・ミュージシャン達の音楽レーベルとして一定の成功をおさめている。
具体的には、2004年と2007年にグラミー賞を獲得しているマリア・シュナイダー等が有名であるが、詳しくはサイトをご覧いただきたい。
サイトの作りもセンスがよく秀逸である。
また、私がこのビジネス・モデルの魅力だと感じるのは、クラウドファンディングだけではなく、ジャズの価値を様々な角度から考えていることである。
ジャズが生まれるまでのリハーサル風景、ジャズ・ミュージシャンとの個人的交流やレッスンの権利等、様々なものを価値として提供してマネタイズする仕組みを組み込んでいる。
こういったやり方には好き嫌いもあるだろうが(私は余り好まない)、色々と考えさせられることはあると思う。

これからの日本のジャズ界を、より良いものにするために、是非、若いミュージシャンを中心に、マーケティングの視点をもって大きなムーヴメントを起こしてほしいものだ。

*先日、中山拓海君、石若駿君というこれからの日本ジャズ界をリードするであろう若手ミュージシャンと、彼らが仕掛ける「JAZZ SUMMIT TOKYO(http://www.jazzsummit.net/landing)」についてお話ししたのに刺激されて、このような駄文を書いてしまいました。彼らには是非、頑張ってほしいと願っています。


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プロフィール

マスターDH

Author:マスターDH
マスターDHです。
普段はマーケティングコンサルタントとして働き、週末は中野のジャズダイニングバー「Sweet Rain」で居るだけマスターをしています。ジャズ、プログレ、クラシック、民族音楽と雑食性ですがかなり偏食でもあります。今だに、コニッツのようにアルトを吹くことを夢見ています。

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